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5月23日『나쁜자석(悪い磁石)』

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대학로 아트원씨어터 1관(大学路 アートワンシアター 1館)
2017年5月23日 20時~

고든: 오승훈 프레이저: 박은석
폴: 손유동 앨런: 강정우
プロデューサー:손형민, 박보현 翻訳: 성수정
脚色、演出、作詞:추민주
作曲:조윤정 舞台:서숙진 照明:원유섭
制作: (주)악어컴퍼니



2009年にアンコール公演を見ている。
イ・ユルさんとチョン・ドンファさんが出ていたやつ。
まだ登場人物が韓国語名を名乗っていたときのバージョン。

この劇場で野菜屋さんをやっていたときに、ソン・ユドン君がすごく熱心にオーディションの準備をしていたのだ。
2009年に見たよ、と言ったらものすごい喰いついてきて、どうだった?どんなキャラクターだと思う?このシーンはどう思う?、なんて。
一人で怒ってみたり、懐かしがってみたり、声を張り上げてみたり、本当に一生懸命練習していたから、(マイクテストのときは野菜屋さんの世界に戻ってきてくれー)と思いつつもこれは久しぶりに見に行かなきゃいけないな、と思っていたのだった。

結論は、見に行って良かった。
ホントこれに尽きると思う。
2009年の時は私はまだ学生で、韓国語の能力を差し引いても、もうすっかり大人になった今回の方が分かること、感じることが多かった。
何だかすごい胸にぐっときて、本当に今回見れて良かった。

寂しいこどものまま大きくなって、寂しさに耐えられなくなったかのように消えていったゴードン。
ゴードンの“死”を抱えたまま、反抗期の十代そのままに大人になったフレイザー。
しょうもない悪たれだったのが、自身の上昇志向に従い、すっかり“立派な”大人になったポール。
いつまでもカモにされ続けながらも、それでも友達思いのまま大人になったアラン。

もしも友人が死んだら、“悲しい”なんて言葉では言い表せないくらいの感情の嵐が胸に吹き荒れるだろう。
しかもその死が自分のせいかもしれない、なんてことになったらなおさら。
とは言っても、フレイザーの姿はドラマティックではあるが、皆が皆フレイザーのようには生きていけない。
どうにかその死を乗り越えて(乗り越えられるわけがないのかもしれない。ただ目を逸らしているだけなのかも)、大人になったポールとアランの姿は標準だと思う。

それまでゴードンの話にあまり興味を持っていなかったポールが、突如熱心にゴードンの物語を出版しようとする姿は、フレイザーのような人には手のひらを返したように醜悪に見えるかもしれない。
だけど私には大人になったポールが、振り返ってみれば大切な時間を共に過ごしたゴードンという友への悔恨や、早くに死んでしまった友人のために記念碑的なものを作れたら良いという想いがあって、本を出そうと頑張っているように見えた。
フレイザーの子供っぽい優しさと、ポールとアランの大人の優しさの対比。

だけどフレイザーも子供のままではいられないんだよね。
9歳の時にあれだけはしゃぎながら4人で埋めたタイムカプセルだけど、今となっては何を埋めたか覚えていない。
「俺には大切なものだったのに、思い出せない。お前らも何か大切なものを埋めたのに、낄낄이も・・・」
大事なことも、感情も、人はそうやって忘れていく。
結局、皆奇形なのかもしれない。

そういう風に物語が進んでいくからこそ余計、大人になったアランがゴードンの物語、『空中庭園』の最後のシーンを再現しようとするのが、本当に、もう。
視覚的にも綺麗だし、ばかなアランの姿に本当に胸が詰まる。
アランは結局大人になれなかった?ならなかった?のかな、とも思う。

近づきたいから反発しあう。同類だから反発しあう。
彼らは本当に磁石のようで、全てを見通していたかのようなゴードンの物語が悲しい。

ところでゴードン役のオ・スンフンさんと、アラン役のカン・ジョンウさん、9歳児が全く違和感なく可愛くて笑っちゃった。
カン・ジョンウさん、黄色いセーターの裾がでろでろのヨレヨレで制服感満点だし、何かと二つの手で「あ!!!」と口を押えるのがめっちゃ可愛い。
オ・スンフンさんの透明感(って女子に使う形容詞のよーだが)がすごいゴードンですごい良かった。
ソン・ユドン君、舞台に立っている所を初めてまともに見たけど、上手だったし、ポール役が似合っていると思う。

参考:ゴードンのお話、『悪い磁石』の日本語訳は、2009年版だけどこちら